動物コロナウイルス感染症との比較

新型コロナウイルス感染症が世界的なパンデミックを起こして、すでに1年半以上が経過しようとしています。コロナウイルスは、人ではSARSで初めて注目されましたが、私達獣医師が扱う感染症の原因ウイルスではもっともポピュラーなウイルスである厄介なウイルスでもあります。牛、豚、鶏、犬、猫のいずれの動物にも感染し、呼吸器症状や下痢症状を起こしますが、一般的には軽症のことが多く死亡率も低いのが特徴であります。しかしなが、時に伝染力が強い、変異しやすい、ワクチンが効かない、株によって死亡率が高いことなどが、発現し対策や治療をむずかしくしています。鶏の伝染性気管支炎を起こすウイルスは、コロナウイルスの中でも最も古くに分離された歴史ある伝染病であります。このウイルスは変異が頻繁に起こりワクチン効果が効きにくい(スッキリしない)ため、病気のコントロールが非常にむずかしく養鶏業者を苦しめていました。通常、呼吸器症状を起こしますが、時に採卵鶏で産卵率を低下(卵巣に影響)させ、ブロイラーで重篤な腎炎な起こすことがあり問題となります。一般に呼吸器病を起こすウイルスが、なぜ産卵率低下や腎炎を起こすかわかっていません。コロナウイルスは、RNAウイルスで一般的には変異しにくいはずと言われていますが、今回の新型コロナウイルスは鶏のコロナと同じように変異しやすい特徴があるようです。また、猫のコロナウイルスも非常に特徴的です。一般的には軽度な下痢を示す程度でありますが、株の中には猫に重篤な腹膜炎をを起こし高い致死率となります(猫伝染性腹膜炎)。また、抗体を保有している猫がウイルス感染した場合、かえって重篤化することも知られています(抗体依存症)。豚では、伝染性胃腸炎、流行性下痢症などの下痢を主徴としますが、伝染性胃腸炎ウイルスは呼吸器症状を起こすウイルスに変異しています。豚の伝染病としては、5~10年でいずれも自然収束しています。牛では毎年集団で一過性の下痢症を起こす伝染性下痢症が知られています。今回の新型コロナウイルスはこの牛のコロナウイルスに遺伝的に由来していると言われています。動物におけるコロナウイルス感染症は、呼吸器病や下痢症を主体としますが、その動態は多岐にわたり、ワクチンによる撲滅、コントロールはむずかしいと思われています。現在の新型コロナウイルスは、変異が起こり易い点など鶏の伝染性気管支炎ウイルスに似ているのではと考えれます。

 犬や猫のペットにこの新型コロナウイルスが感染するのか心配される方も多いと思いますが、広い調査の結果などから、犬にはほとんど感染しない、猫では稀に感染するが症状をほとんど出さないことがわかっています。フェレットを除くほとんどの動物に感染しないようであります。もし、仮にこのウイルスが野生動物を含めた動物たちに感染するようであれば、より一層収束や撲滅がむずかしくなりますので、野生動物への感染が起こる前に収束させたいものです。

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