獣医学シリーズ2~狂犬病予防注射の励行~

春は、犬に年1回の狂犬病予防ワクチンを接種する季節でもあります。狂犬病ワクチン接種は、狂犬病予防法において飼い主に年1回4~6月の期間に接種することが義務付けられており、罰則規定もあります。本病は、ほとんどの哺乳動物に感染しますが、特に犬での流行が問題となります。当然、感染した犬に咬まれた場合にはヒトも感染・発症します。我が国では昭和31年以降感染が確認されていませんが(海外で感染し、帰国後発症した例あり)、世界的には毎年5万人以上が感染し死亡している大変恐ろしいウイルス性伝染病であります。本ウイルスは咬傷口から神経を伝わり脳神経に感染し発病するため、咬傷から発病までに数週間から数か月かかることもあります。発症した場合、治癒することはありません。そのため、唯一の治療方法は、感染の可能性がある場合には発病するまでにワクチンを数回接種することにより免疫を高め発病を抑えることが行われます。そのため、流行国・地域ではワクチン未接種の犬等により咬まれた場合には発症予防として狂犬病ワクチンを接種します。我が国は幸いにも狂犬病を撲滅し、その後の厳しい検疫により70年以上発生はありませんが、いつ海外から侵入するかもしれません。もし本病が侵入した場合、我が国は大騒ぎになることが予想されます。我が国の犬の免疫を高めておけば、かりに本病が侵入しても流行することはありません。毎年の予防接種は犬の飼い主にとっては負担とはなりますが、かわいい愛犬の保険と考えて忘れずに予防接種をお願いします。

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