静岡県獣医師会公開講座:イヌとヒトとの絆を科学する」

6月21日、もくせい会館において、静岡県獣医師会主催の公開県民講座「イヌとヒトとの絆を科学する」が開催された。講師は麻布大学獣医学部介在動物学研究室教授菊水健史先生、講演は獣医師会の令和8年度総会終了後に行われた。講演会には獣医師会会員の他、一般市民や中高校生の出席もあり約100人ほどの参加があった。講演の要旨は次のとおりであった。

イヌは最初に家畜化された動物で、現在何百種類の犬種が認められており、家畜化の過程で独自の認知能力を獲得し、その能力はヒトとイヌの深い関係の形成に寄与している。イヌと飼い主の間に、ヒトの母子間に認められるオキシトシンを介した絆が生まれるか調べた。その結果、イヌは飼い主と再会した時に涙液量が増え、その中にオキシトシンが含まれていることを証明している。また、イヌは視線を用いたヒトとのコミュニケーション能力を高度に進化させてきた。さらに、イヌを飼育することの利点について疫学的な研究がされており、イヌの飼育が思春期の子どものウェルビーイングを向上させることも明らかにされている。イヌの飼育により子どもの腸内細菌 が安定しアレルギーが起こり難くなる。高齢者がイヌを飼うことにより、介護費が減る、フレイルの発生リスクが減少、認知症発症リスクの減少が見られる。猫ではこのような効果は認められない。イヌは社会的な触媒となる、例えばイヌが実際には街中でイヌを散歩する人と人を結びつけている。近年の研究で、イヌの飼育がヒトの心身の健康に限定されず、社会全体のウェルビーイングを高める可能性が見えてきている。麻布大学は地元の相模原市と連携し、イヌが介在したまちづくりにも取り組んでいる。

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